その子自身の芯というか軸というかが見えたような気がした
これは、ある子どもとのカウンセリング場面での話です。
(実際のものとは内容をあちこち変えています)
小学6年生の男の子と、約束をしました。
その子自身の時間の使い方についてです。
昼夜逆転のことが親御さんからのカウンセリングの主訴としてありました。
はじめ私はその子と話をしている中で、その時間のことについて私から話をしようかどうか迷いました。
「〇〇くんね、こうした方が良いよ」みたいに。
でも、その日は結局そのやり方をやめました。
これはその子のことなのだから、その子に尋ねてみることにしたのです。
(私はただ、いくつかの選択肢を私が挙げて、最後に「それ以外」という選択も加えました)
そうすると、その子は私の予想をはるかに超えて、自分の考えを話してくれました。
ぽつりぽつりではあったのですが、私はそこで、その子自身の芯というか軸というかが見えたような気がしたのです。
その日の話はその流れで進行し、最後に私が「わかった。じゃあ、今日からそれでいこう。聞けて良かった。ありがとう」と言って終わりました。
その子自身のことをその子が決める。
一見当たり前のことのようですが、私はそのとき、この子に必要なのはそれだなと思ったのです。
カウンセリングの場面ではない一般のご家庭でのことだったら、これをお金の使い方の話だったり、スマホやゲームとのつきあい方のお話などに置き換えていただいても構いません。
ところで実はこの話には後日談があります。
2週間後にこの子にもう一度会うことになったのですが、前に一緒にしたこの子とのお話、「じゃあ、今日からそれでいこう」と私は話し、彼もそれにうなづいてくれた、このお話。
裏切られました(笑)
彼が言うには「数日は良かった」そうなのですが、そのあとはまた元の通りに戻り、私と交わした「今日からそれでいこう」は、まるでなかったかのようでした。
子どもとのやり取りだから特に、というわけでもないのですが、こうやって私たちはよく「裏切られ」ます。
でも、この「裏切られ」は必要なことです。
「言ったのに守っていない」「ダメじゃないか」とはちょっと違います。
良い悪いではないんです。
確かに「じゃあ今日からこれでいこう」は実現できませんでした。
それでも、その子自身のことをその子が決めて、それができなかった。
そのこと、どう思う?
それってなんでかな?
それじゃあどうしたらいいかな? をまた一緒に考えていくことができます。
2週間前にその子が話してくれたときの話し方や表情、あの時間。
私はここにその子の芯や軸を見て、その子のことを信じました。
けど、裏切られた。
けど、やっぱり信じている。
だから次のことを一緒に話し、一緒に考えるんです。
これの繰り返し。
「その子自身の芯というか軸というかが見えたような気がした」
ありがとうございました。
昨夜の月は見ることできましたか?
今日も良き日でありますように。
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